本の紹介
この一冊は、マーケティングの“従来型”から脱却し、顧客・市場・信頼を中心に据えた新しい形のマーケティングを提示しています。著者セス・ゴーディン氏は、長年にわたり数々の代表的概念(「パーミッション・マーケティング」「トライブ」「紫の牛」など)を提唱してきたマーケティング界の重鎮です。
本書では、「大衆に向け一方的に売り込む」時代は終わった、とし、むしろ「小さくても共感してくれる人たち」「信頼を築いた領域」で価値を提供することが、これからの“市場を動かすマーケティング”だと説きます。
内容は、まず第1章で「恥ずかしくないマーケティング」を提起。第2章以降では、マーケターが「売る」ではなく「信頼を築く」「物語を語る」「変化をもたらす」存在になるためのステップが展開されます。
特に印象的なのは「対象とする顧客は“誰か”ではなく“誰かの物語に共鳴する人”である」という視点や、「価格・ステータス・トライブ(部族)」など、従来のマーケティングでは見落とされがちな“人の内側の動き”を鋭く掘り下げている点です。
マーケティング業務を担っている方や、集客・ブランディング・Web発信を強化したい事業者にとって、本書は“手法の羅列”ではなく「そもそもなぜマーケティングを行うのか」「誰に・どのように価値を届けるべきか」という根本を再考させる、実践的な指南書となるでしょう。読後には、あなたのWeb集客やコンテンツ設計にも「数より関係」「広さより深さ」といった新たな視点が加わるはずです。
目次
- ■第1章 大衆向けでもスパムでもない、恥ずかしくないマーケティングを始めよう
これからのマーケティングのカギは「信用」/マーケティングとは何かほか - ■第2章 マーケティングはストーリー、つながり、体験を通して消費者を変える
マーケターは「感情」を売っている/時代は「売り込み主導」から「市場主導」へ ほか - ■第3章 信じてくれる消費者は「成長しそうな最小の市場」にいる
マーケターがやりがちな2つの失敗/市場をとらえるための「特徴」と「世界観」 - ■第4章 より良いものを生み出すための「共感」の技術
「共感」はマーケティングの肝/「より良い」ものを決める消費者の基準 ほか - ■第5章 一般的な商品を超えて「強み」をつくる
「一般ウケする商品」はもう古い/サービスとしての感情労働 ほか - ■第6章 思い通りの結果を出すために大切なこと
マーケターが引っかかりやすい3つのワナ/消費者の夢と恐れを表す言葉 ほか - ■第7章 「最小の市場」で生き残り続けるために
マイクロマーケットをつかむ3つのポイント/なぜ、消費者はそれを選ぶのか? ほか - ■第8章 消費者は自分と同じステータスの人にとらわれる
「私と同じステータスの人」を具体化する/「エリートグループ」と「排他的グループ」 ほか - ■第9章 消費者を動かす「緊張」の力
売り込むときの2つのパターン/「緊張」はパターンを変える ほか - ■第10章 消費者の変化をとらえるツール「ステータス
ステータスと富は同じではない/ステータスを認識する練習/ストーリーの土台になる2つのタイプ - ■第11章 賢いマーケターの事業計画書・記号・シンボルの扱い方
小さな市場の「特定のシンボル」を探す/顧客との約束にむすびつくブランドとロゴ ほか - ■第12章 「消費者に合わせた対応」から得られるもの
「新しいもの好き」の人を探す理由/熱狂は変化を望む人をつなぐ ほか - ■第13章 正しい戦術・戦略・目標で適切な消費者を探す
戦術・戦略・目標のちがい/「運命の谷」を乗り越える方法 ほか - ■第14章 ストーリーをもたらす「価格」の重要性
価格はマーケティングツール/信用・リスク・価格の関係 ほか - ■第15章 取引をうながす「パーミッション」と「注目」
プロジェクトを変化させる「紫の牛」/顧客にアピールすべきタイミング ほか - ■第16章 「信用」で忠実な顧客を集める
行動は「信用」を得る手段/ネットワーク効果でキャズムを超える ほか - ■第17章 「トライブ」をつくり市場を導く
トライブを動かす3つのストーリー ほか - ■第18章 マーケティングは必ずうまくいく
市場を動かすを読んだ感想・レビュー
目標を持ち取り組むようになりました
シンプルでインパクトのあるネーミングが印象的で、選びました。コミュニティの育みかたを分かりやすく説明されていて、ぼやけていた目標をイメージしやすくなりました。
顧客の抱える問題点に着目しスポットを当てていて、新しい価値を生み出すことに繋がります。技術や知識にとどまらず、人とのつながりや考案に重点を置いていて、コミュニケーションの円滑化にも役立てられたと思います。ヒントになるポイントが満載で、読み応えがありました。


