本の紹介
本書『ポジショニング戦略[新版]』は、著者 アル・ライズ と ジャック・トラウト が1970年代に提唱した「ポジショニング」というマーケティング理論を、現代の情報過多社会にも通用する形で再編した決定版です。消費者の頭の中に自然とブランドが位置づく“ポジション”を築き上げる方法を、理論と実例で体系的に解説しています。
本書が問うのは、製品特性や価格だけでは「選ばれる理由」を作れない時代において、いかに消費者に“先に”“印象強く”ポジションを取らせるかという点です。「頭の中に入り込む」「一番乗りの優位」「穴をつく戦略」といったキーワードが折り重なり、これまでのマーケティングの枠を超えた考え方が示されています。
具体的には、リーダー企業がとるべき戦略、追随企業が差別化で勝つための戦略、ライン拡大のリスク、ネーミングの力、消費者の「カテゴリー化」という認知構造を活用する方法まで幅広くカバー。例えば、「ティッシュ=クリネックス」「コピー=ゼロックス」など、ブランド名とカテゴリーが結びついた実例が紹介されています。
マーケティング担当者のみならず、事業責任者、起業家、ブランディングを担うクリエイターなどにも読む価値があります。自社サービスやプロダクトの“頭の中でのポジション”を自覚的に設計したい方には、まさにバイブルと言える一冊です。
目次
- マーケティング界を一変させた「新ルール」
- ポジショニングとは何か?
- 頭脳は集中砲火を浴びている
- 頭の中に忍びこむ
- 「小さなはしご」を見逃すな
- そこからでは、目的地にたどり着けない
業界リーダーになる必勝パターン - 追いかける側の「勝ち方」とは?
- ライバルのポジションを崩せ!
- 「ネーミング・パワー」をこの手に〔ほか〕
ポジショニング戦略を読んだ感想・レビュー
未開拓の分野、「穴」を探す戦略である
ライバルのポジションを崩すには、自分が入る余地がある「穴」をつくり出す。どのポジションが空いているか、どの文脈に当てはまるかは、WHOの解像度を上げて、どのCEP、オケージョンで想起されるかを考える。
情報化社会の現代では、すべての情報を頭の中に入れるには、脳は小さすぎる。だから人間はモノやブランドをランク付けし、単純化することで情報を整理している。
自社の「目的」や「資源」が市場や消費者から見て、どこに当てはまるかを競合のポジションから相対的に考える必要がある。

