たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティングを読んだ感想・レビュー

たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティングを読んだ感想・レビュー 本の感想・レビュー

本の紹介

『たった一人の分析から事業は成長する ― 実践 顧客起点マーケティング』(著:西口一希)は、「顧客を知ることこそが、事業成長の唯一のエンジンである」という明確な思想に基づいた実践的マーケティング書です。単なるデータ分析でも、一般的なフレームワーク論でもなく、“たった一人”の顧客の行動・心理・不満・期待を深く掘り下げることこそが、商品づくりや戦略に直結するという核心が語られます。

本書では、著者がP&Gやロート製薬などで培った「顧客起点の思考法」を、再現性の高い手法として体系化しています。特に、顧客の「選ばれる理由」「離れる理由」を正確に見極めることが、広告や販促よりも事業成長に強く効くという視点は、多くの企業に衝撃を与えた内容です。また、データの量ではなく“質”に焦点を当て、実際の顧客インタビューや観察から、小さな洞察を見つけ、大きな成果につなげるプロセスが具体的に示されています。

顧客を理解するとは何か。顧客の本音をどう掘り起こすのか。その洞察をどう事業成長へ変換するのか。
これらを実務レベルで学べる本書は、マーケターはもちろん、経営者・商品開発担当者・独立して事業を行う人にとっても“すぐに使える”考え方が詰まった一冊です。

あなたのビジネスにおいても、「一人の顧客を深く理解すること」が、大きな成長の突破口になることを確信させてくれるでしょう。

目次

  • 第1章 マーケティングの「アイデア」とN1の意味
    漠然と顧客全体を捉えた一般的な調査では、人の心を動かす「アイデア」はつかめない。
    実在する「一人の顧客=N1」の行動と心理を分析し、強い「アイデア」を生み出す。
  • 第2章 【基礎編】顧客ピラミッドで基本的なマーケティング戦略を構築する
    ターゲット全体に「認知/購買経験/購買頻度」を調査し、5つに分類する「顧客ピラミッド」を作成。
    具体的な顧客数を把握し、狙うセグメントを定めて施策を展開し上位移行を促す。
  • 第3章 【応用編】9セグマップ分析で販売促進とブランディングを両立する
    顧客ピラミッド(5セグマップ)にブランド選好の軸を加え、9セグマップを作成。
    図の左から右方向への顧客数の推移を販売促進、下から上への同推移をブランディングの効果として把握する。
  • 第4章 【ケーススタディ】スマートニュースのN1分析とアイデア創出
    スマートニュースがどのような分析と施策をもってアプリランキング100位圏外からNo.1になったか、 競合ブランドと比較しながら時間軸の推移を解説する。
  • 第5章 デジタル時代の顧客分析の重要性
    Amazonにはじまり、UberやAirbnbなど、デジタル時代には予期せぬ方向から競合が出現する。 自社の顧客層を徐々に奪われ一気にビジネスが崩れる事態を、顧客分析によって防ぐ。

たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティングを読んだ感想・レビュー

感覚に頼るマーケティングからの卒業

これまで会議室で作られるペルソナに、どこかリアリティのなさを感じていました。本当にこんな人は実在するのか?という疑問を抱えながら施策を打つ日々に、限界を感じていた時に出会った一冊です。本書が提唱する、実在するたった一人の顧客を徹底的に深掘りするN1分析には衝撃を受けました。

平均値から導く架空の人物ではなく、生身の人間のインサイトからすべてを始めるという考え方は目から鱗でした。感覚的な議論を終わらせ、データに基づいた再現性の高い戦略を立てたいと考える全てのマーケターにおすすめです。