『「原因と結果」の経済学——データから真実を見抜く思考法』を読んだ感想・レビュー

『「原因と結果」の経済学——データから真実を見抜く思考法』を読んだ感想・レビュー 本の感想・レビュー

本の紹介

『「原因と結果」の経済学――データから真実を見抜く思考法』は、ビジネスや日常生活で直感的に判断してしまいがちな「思い込み」をデータによって解きほぐす一冊です。

本書は、相関と因果を混同すると誤った結論にたどり着いてしまうという問題を、豊富な事例とわかりやすい図解で解説しています。広告施策の効果検証、教育政策、医療の効果測定など、幅広いテーマを取り上げながら、「本当にそれが原因なのか?」という視点の重要性を丁寧に示していきます。

特に印象的なのは、日常に潜む“誤解のワナ”をユーモラスに指摘しつつ、専門的な統計手法を初学者にも噛み砕いて説明している点です。難解な因果推論を、ここまで平易にまとめた本は多くありません。データを扱うビジネスパーソンはもちろん、マーケティング担当者や教育関係者にも役立つ内容となっています。

「数字が示す結果」をそのまま受け入れるのではなく、「そこに隠れた原因」を探る姿勢を持つことで、意思決定の質は大きく変わります。本書は、まさにその“思考のアップデート”を促してくれる実践的な入門書です。

目次

  • 第1章 根拠のない通説にだまされないために―「因果推論」の根底にある考えかた
  • 第2章 メタボ健診を受けていれば長生きできるのか―因果推論の理想形「ランダム化比較試験」
  • 第3章 男性医師は女性医師より優れているのか―たまたま起きた実験のような状況を利用する「自然実験」
  • 第4章 認可保育所を増やせば母親は就業するのか―「トレンド」を取り除く「差の差分析」
  • 第5章 テレビを見せると子どもの学力は下がるのか―第3の変数を利用する「操作変数法」
  • 第6章 勉強ができる友人と付き合うと学力は上がるのか―「ジャンプ」に注目する「回帰不連続デザイン」
  • 第7章 偏差値の高い大学に行けば収入は上がるのか―似た者同士の組み合わせを作る「マッチング法」
  • 第8章 ありもののデータを分析しやすい「回帰分析」

『「原因と結果」の経済学——データから真実を見抜く思考法』を読んだ感想・レビュー

データに騙されない思考法

「売上が上がったのは、広告Aが原因か?それとも単なる偶然か?」こうしたビジネス上の疑問に対し、明確な答えを出す「因果推論」の重要性を、非常に分かりやすく解説した一冊。マーケティング担当者が陥りがちな「相関関係」と「因果関係」の混同を、具体的な例(例:「勉強時間」と「成績」)で鋭く指摘してくれる。

Excelでデータを分析する際も、この「本当にそれは原因なのか?」という視点を持つだけで、施策の精度が格段に上がると感じた。データを扱う全てのビジネスパーソン必読の書。