本の紹介
本書『エフェクチュエーション:優れた起業家が実践する「5つの原則」』は、世界の成功した起業家たちが共通して行っている思考と行動パターンを体系化した“起業の科学的メソッド”を紹介する一冊です。
従来の「目的を決めて計画を立てる」予測型アプローチではなく、「今ある手段から、できることを積み上げる」創発型アプローチ(エフェクチュエーション)に焦点を当て、起業における不確実性を武器に変える思考法を解説しています。
本書で示される5つの原則──「手中の鳥の原則」「許容可能損失の原則」「クレイジーキルトの原則」「レモネードの原則」「飛行機の操縦士の原則」──はいずれも、変化が激しく先の読めない時代において、起業家がリスクを抑えつつ成果を生み出すための実践的な指針です。
これらの原則は難解な理論ではなく、身近な事例やエピソードとともに語られるため、読みながら自然と自分の行動に置き換えて理解できます。
特に、起業における“正解のない状況”に悩む読者にとって、本書は「どう決断すべきか」ではなく、「どう前へ進むか」を教えてくれる実践書です。大胆さよりも現実的な一歩を重視し、仲間を巻き込み、偶然さえ味方につける思考法は、起業家だけでなく、フリーランス、ビジネスリーダー、プロジェクト推進者にも大きなヒントを与えてくれます。
机上の理論ではなく、変化の中で成果を掴むための“行動メソッド”を学びたい人に、強くおすすめしたい一冊です。
目次
- 第1章 エフェクチュエーションとは何か
- 第2章 手中の鳥の原則
- 第3章 許容可能な損失の原則
- 第4章 レモネードの原則
- 第5章 クレイジーキルトの原則
- 第6章 パートナー獲得のための行動:問いかけ(asking)
- 第7章 飛行機のパイロットの原則
- 第8章 エフェクチュエーションの全体プロセス
- 第9章 フリーランスとしてのエフェクチュエーション
- 第10章 企業でのエフェクチュエーションマネジメント
エフェクチュエーション:優れた起業家が実践する「5つの原則」を読んだ感想・レビュー
「目標ありき」の思考から脱却する起業術
この本は、従来のマーケティングや戦略の常識を覆す、非常に実践的な「行動論」でした。長年自営業をやっており、常に未来を予測して計画を立てる「コーゼイション(原因論)」の思考に縛られていましたが、この本は「手持ちの資源(Who, What, How Much)から出発する」という「エフェクチュエーション」の考え方を提示してくれます。
特に心に響いたのは、「許容できる損失」を優先する原則です。壮大な計画を立てるより、「失敗しても大丈夫な範囲」でまず小さな一歩を踏み出すという考え方は、資金や人脈が限られる個人事業や、趣味のサークル活動においても極めて有効だと感じました。


